DOCTOR INTERVIEWドクターインタビュー


広く、深く、
チームで最善の診療を。

消化器内科ドクターインタビュー

消化器内科部長 加藤 総介

    

 「患者さんにとっての最善」の追求をモットーに、消化器外科をはじめとする他診療科と密接な連携を図りながら、消化器がんを中心に多岐にわたる消化器疾患の早期発見・治療に尽力。患者とその家族に寄り添った温かみある医療サービスを提供しています。
 同科の取り組みや目指す医療の形、消化器がんの早期発見・治療の重要性、日々の診療に対する思いなど、日本内科学会認定総合内科専門医・日本消化器病学会認定消化器病専門医・日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医の加藤総介消化器内科部長にお話を伺いました。


消化器内科では、どういった診療を行なっていますか?

 消化器とは食道、胃、小腸、大腸などの消化管と、肝臓、胆道、膵臓などの食物の消化、吸収にかかわる臓器のこと。消化器内科はこれら消化器の疾患を見つけるための検査、診断と、おなかを切らずに治す内科的治療を担当しています。
 腹痛、食欲がない、便秘・下痢、吐き気・胸やけ、血便などの体調不良で受診される方から、健診でなんらかの異常が見つかった方が胃や大腸、肝臓、膵臓などの精密検査のために来院されるケース、胃がん、大腸がんなど消化器がんに対する高度な治療を必要としている方、消化管出血や黄疸による腹痛などの緊急例まで、日々いろいろな患者さんが来られます。軽い症状の方から、生死の境目にあるような重篤な患者さんまで本当にさまざまです。
 地域に密着した総合病院・急性期病院の消化器内科としての役割を果たすべく、最新の医療をできる限り取り入れながらも、市中病院ならではフットワークの軽さを活かした細やかで温かな医療の提供を目指しています。


どのようなことを心掛けて診療にあたっていますか?

 常に念頭に置いているのは、「病気」や病んでいる「臓器」のみを診るのではなく、病で辛い思いをしている、苦しんでいる患者さんに向き合い、その「人」そのものを診るということです。病気にも、患者さんの生活習慣や職業、家庭環境など社会的背景が大きく関係しています。例えば、職業からその人にどういう負荷がかかっているのかが分かり、病気との関連性が見えてくることもあります。病気だけを切り分けて考えるのではなく、患者さんの生き方やご家族との暮らしとも向き合い、「人を診る」ことは、より的確な医療にも結び付いていくものです。
 具体的な診療で最も大切にしているのは、チーム医療の推進です。現在も多くの医療機関では消化器疾患に対して、消化器内科と消化器外科が別々に診療を行なっていますが、同じ消化器に起こる疾患を内科医と外科医が縦割りで診るより、必要に応じてお互いに連携して診療する方が患者さんにとって大きなメリットがあると考え、当院では2010年4月に消化器病センターを開設しました。当センターでは消化器内科・外科の両科に加え、放射線科や臨床検査科、化学療法センターなど他科・他部門とも密に連携を図りながら、消化器がんを中心にさまざまな消化器疾患の複雑な病態への迅速な対応と、病状に応じた継続的な診療を可能にしています。あらゆる分野のスタッフが力を合わせるチーム医療で、常に総合的な視点から「患者さんにとっての最善」を日々追求しています。


よく診る消化器疾患について教えてください。

 消化器内科・外科は対象とする臓器が多岐に及ぶため、他領域に比べて疾患の種類も多く、消化器内科・外科の医師がそれぞれの専門性を発揮しながら診療を担当しています。ここでは、人口の高齢化に伴って患者数が増え続けている消化器がんのうち、胃がんと大腸がんについてお話します。
 胃がんは日本人に最も発生しやすいがんの一つです。また、大腸がんは近年、急激に増加しているがんの一つで、今や女性の死因の第1位です。どちらのがんもある程度進行しないと症状が現れないことがほとんどですが、早期に発見し、適切な治療を受ければ治癒させられる可能性が高いがんです。特に大腸がんは比較的進行が遅いので、症状が出ない早期のうちに発見できれば、ほぼ治癒も望めます。胃がん、大腸がんは不治の病ではありません。早期発見・早期治療のためには、がん検診や人間ドックなどでの胃・大腸内視鏡ほか各種検査が非常に重要です。40歳を過ぎたら一度は、特に親族にがんになった人がいるなど高リスクの方は、がん検診や人間ドックの受診をお勧めします。


胃がん、大腸がんの内科的治療について教えてください。

 胃や大腸などに早期がんが見つかった場合、かつては主に外科手術を行なってがんを切除していましたが、医療機器・技術の進歩によって、現在では内視鏡を使ってがんを切除する「内視鏡的治療」が広く行われるようになっています。
 内視鏡治療の最大のメリットは、患者さんの体への負担が少ないことです。外科手術のようにおなかを切って開いたり穴を開けたりすることがないですし、臓器の形状や機能を損なうリスクも小さいです。その結果、入院日数も短く、早期の社会復帰が見込めます。ただし、内視鏡治療の適応となるには、がんの早期発見が不可欠です。現在、内視鏡治療の一種で、早期消化管がん治療の主流となっているESD(内視鏡的粘膜切除術)という術式は当院では胃がん、大腸がんに対して実施していますが、適応となるのは基本的にそのすべてが粘膜内にとどまる早期がんに限られています。
 もう一つお伝えしておきたいのは、内視鏡治療が低侵襲であることは確かですが、限界は当然あるということです。早期がんであり、患者さんが内視鏡治療を望まれたとしても、症例によっては──例えば内視鏡ではがんを取りきれないケースなどでは、別の治療法を模索し、提案することもあります。内視鏡での処置、治療に行き詰まった際、次の一手をどうするか、どんな治療戦略を立てられるかが、患者さんの予後を左右します。当院では、必要な症例には内視鏡治療に固執せず、消化器病センターとして消化器外科や他科、他部門の知恵と技術を結集して「患者さんにとっての最善」の追求にチームで取り組んでいきます。


最後に読者にメッセージをお願いします。

 私が医者になった約20年前、がんは死に直結する病という印象が強くありましたが、今は違います。胃がん、大腸がんなど早期に発見できれば治療が期待できるがんも多くなっています。繰り返しになりますが、「症状のないうち」に検査を受けるのが、早期でがんを見つける最大の近道です。症状があるなら、我慢せず早期に受診すること。深刻な病気のほとんどは、放置していて自然に良くなることはありません。もしがんなどの病気が見つかったとしても気を落とさないでください。まず内視鏡治療、それが難しければ外科手術や放射線療法、化学療法、それらを組み合わせた集学的治療など、治療の選択肢は多様です。がんになっても、すぐにあきらめずに自分ができる治療法を模索することが大切です。
 消化器がんの中には、5年生存率が低い難治がんもあります。医療現場は日進月歩で、次々と新しい薬剤や治療法が開発され、登場しています。治療成績を上げるために世界中の研究者、医療者が日夜、努力しています。いずれその領域にも劇的な改善、大きなブレークスルーが起こるはずです。
 今後も、広く深く、最新の設備や治療を積極的に取り入れ、常に患者さんの立場にたった診療を貫いていくつもりです。

    

         

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